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2023/01/01最近の話題

令和5年 年頭所感 足立会長理事長



新年明けましておめでとうございます。
令和5年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

昨年は3年目となる新型コロナウイルス感染症蔓延下での国民生活を強いられる中で、夏季には感染第7波を迎え、ピーク時には新規感染者数が1日26万人超を数えるに至りました。感染者数においてはそれまでを大きく上回ったものの、感染の中心が飲食の場から高齢者施設、学校、保育所等の施設や家庭内感染へと変化して行く中で、ウイルスの特性の変化や3回目・4回目のワクチン接種の進捗が進んだことで重症化の抑制がなされました。3年ぶりの行動制限を伴わないお盆休みや水際対策の緩和措置がとられるなど、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る「Withコロナ」に向けた新たな段階への移行が進められており、本年においては更なる前進が期待されます。

厚生労働省が昨年11月に発表した令和4年の賃金改定状況の調査結果によると、コロナ禍からの経済回復により賃金を引き上げた企業の割合は上昇に転じ、労働者一人あたりの平均改定率は1.9%と5年ぶりの上昇を示しました。一方で、資源高や日米の金利差を背景とした円安による原材料価格の高騰は様々な物品の価格上昇を招いており、昨年11月の東京都区部における消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で103.6を示し、40年ぶりの水準に達しました。自動車整備人材の確保に頭を痛めるわが業界にとって、処遇改善は喫緊の課題でありますが、賃金の上昇率を上回る物価上昇は状況を一層厳しいものにさせています。

コロナ禍からの回復過程において世界的に需要が急増した半導体は、昨夏にはパソコン向けなど一部では供給過剰に転じたほか、昨年10月には半導体受託生産の世界最大手である台湾のTSMCによる日本工場の設置が明らかにされる等、半導体供給の今後に関しては明るい兆しが確認できます。しかしながら車載向け半導体においては供給不足が継続していることから、自動車メーカー各社では依然として生産調整を強いられ、新車販売台数はコロナ禍以前の水準への回復には至っておりません。新車の長納期化を嫌気して中古車を選好する消費行動が多く見られる一方で、新車への代替がスムーズに進まず中古車の供給が滞っており、自動車販売の現場では新車・中古車ともに商材が充足しているとは言い難い状況が続き、将来の点検整備入庫への影響が懸念されます。

東京都では、すでに周知されているとおり、乗用車の新車販売において2030年までに100%非ガソリン化を目指すとしており、啓発イベントを精力的に開催する等、機運の醸成に努めております。昨年複数の自動車メーカーが発売した軽乗用EVの売れ行きは好調に推移しており、国のCEV補助金は追加予算が組まれ年度ベースでは近年最大規模となる1千億円超に達する等、販売実績において高い関心が反映されています。また、EUと欧州議会では、昨年10月に欧州域内での内燃機関を搭載する乗用車と小型商用車の新車販売を2035年から禁止することで基本合意に達しました。規則見直しの余地は残されているものの、乗用車のみならず大型車においても電動化で先行する欧州の動向は引き続き注視を要します。加えて中国・韓国の自動車メーカーによるわが国乗用車市場への参入や、新興国市場では新興メーカー等により電動車が精力的に投入される等、電動化の進展によって従来の日米欧を主とする自動車産業の勢力図が塗り替えられる可能性すら生じております。

電動化の波はすでに二輪車にも到達しており、昨年10月には国内二輪車メーカー4社などからなる新会社による電動二輪車用バッテリーシェアリングサービスが稼働を開始したほか、ミラノモーターサイクルショーでは国内外の多数のメーカーが電動二輪車を出展し、業界関係者のほか二輪車ユーザーの耳目も多く集めました。モビリティ分野でのカーボンニュートラル達成の手段は電動化のみに限られるものではないとはいえ、電動車整備への適応は事業を継続していくにあたり不可欠なものとなっております。東整振・都整商では、電動車整備に対応する研修会の実施や充電設備の斡旋等を通じて会員・組合員の皆様の電動化対応をお支えしてまいります。

令和2年4月より運用が開始された特定整備認証制度にあっては、運用開始以来多く寄せられる認証申請のご相談に対し、現地調査を含む指導業務をはじめとして認証工具の斡旋やFAINESの加入促進等、認証申請に係る様々な支援業務に努めてまいりました。令和6年3月末には特定整備認証の経過措置期間が満了を迎えます。経過措置期間の満了まで1年と3ヶ月を残すところとなりましたが、東整振では、引き続き指導業務の実施に努め、特定整備認証の取得を希望する会員事業場の皆様の認証申請を支援してまいります。

本年は、自動車検査証の電子化及び指定整備事業者等による自動車検査証有効期間の更新が可能となる「記録等事務委託制度」の運用が開始されるほか、クレジットカードを用いた自動車重量税等のキャッシュレス納付制度等、我々自動車整備事業者にとって業務効率の改善が見込めるデジタル技術を活用した新たな制度が導入されます。国等から継続検査に係る自動車検査証の記録等に関する事務「特定記録等事務」の委託を受けた「記録等事務代行者」としての業務開始にあたっては、申請のほか様々な業務環境の整備等を要することから、東整振・都整商では説明会の開催や周辺機器の斡旋等を精力的に行い、会員・組合員の皆様がデジタル化の恩恵にあずかることができるよう努めてまいります。

結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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