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2017/01/01最近の話題

平成29年 年頭所感 西村健二会長理事長

あけましておめでとうございます。
平成29年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

わが国の経済状況は、緩やかな回復基調と共に、生産年齢人口の減少に加え人件費の高騰などから人手不足感がさらに高まる状況となり、自動車整備業界にあっても要員の確保は喫緊の課題であります。

また、国内の物価上昇は当初の目標(2%上昇)を下回る状況が続いており、国内産業の9割以上を占める中小企業にまで景気回復の恩恵が波及するには至っておりません。
そのため、政府はこの物価目標を目指し、わが国初となるマイナス金利政策を導入し景気刺激を図っており、今後もわが国経済に広く波及する一層の経済政策の実行が望まれるところです。

本年4月に予定されておりました消費税率の引き上げは、平成31年10月まで延期されたことに加え、自動車取得税の廃止および環境性能割の車体課税導入も延期されることとなりました。
平成29年度からはエコカー減税の対象を段階的に縮小することも予想され、自動車販売への影響も懸念されます。いうまでもなく自動車産業はわが国の基幹産業であり、堅調な自動車販売の推移は我々自動車整備業をはじめとした関連産業の業績改善に寄与するものであることから、政策決定においては格段の配慮が望まれます。

また、昨年は4月に熊本県で発生した地震のほか、数多くの台風などの自然災害により多くの方が被災され、現在も避難所での不慣れな生活を強いられています。被災地におきましては1日も早い住居やライフラインなどへの被害の復旧が望まれるところです。

一方、国外に目を向けますと、本年1月20日にはドナルド・トランプアメリカ次期大統領の就任が予定されており、経済政策や政治手腕に期待が高まっております。就任後の経済状況の好転が期待されるところです。

全国の自動車保有台数は平成28年3月末現在で8,090万台を数え、過去最高を更新しているところですが、一方では乗用車の世帯当たりの普及台数は2年ぶりに減少に転じるなど自動車整備業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあると言えます。加えて整備要員の平均年齢は全国平均で44.3歳と5年連続で高齢化が進行しております。
近年は経営者の高齢化とともに後継者難を理由とした廃業の事例も見受けられ、若年整備要員の確保が自動車整備業全体の課題となっております。
また、若年者に限らず人材の不足は個々の長時間労働の慢性化を招きかねず、労働環境の改善という観点からも人材の確保は急務と言えます。
人材の供給を主目的とするものではありませんが、国土交通省では昨年4月1日より外国人技能実習制度に自動車整備職種を追加しました。同制度は実習生への技能等の移転を図り、発展途上国の経済発展を担う人材を育成することを主たる目的とするものです。
自動車整備業にあっては途上国への輸出・販売が拡大している日本車の性能維持や、自動車の安全の確保が図られるほか、日本型の車検制度等のソフトインフラ輸出への結びつきが期待されるところです。
もちろん、整備要員は一朝一夕に育成できるものではなく、また実習期間には限りがありますが、意欲に燃える実習生の活躍により職場環境の変化や活性化が期待されるところであります。
実習生の受け入れにあっては、言語や教育制度の整備といった受け入れ態勢の構築等、課題は山積しておりますが制度の活用によって業界全体の活性化が期待されるところです。

自動車技術の面においては、ハイブリッド車や燃料電池車などをはじめとした低公害燃料車や、衝突被害軽減ブレーキや同一車線での自動運転技術などの先進安全技術を搭載した車両が相次いで発表され、その普及が急速に進んでおります。今後の自動車技術はこうした高度な電子制御技術が担う役割が増していくことが予想されます。

一方で自動車の平均車齢は24年連続で過去最高齢を更新しており、長期保有化に伴い適切な定期点検整備の実施が「安全で安心なクルマ社会の構築」には不可欠であります。
我々自動車整備業におきましても定期点検整備の励行に加え、技術革新の波に乗り遅れず、「安全で安心なクルマ社会の構築」の一翼を担い、自動車ユーザーからの信頼をより強固なものにしていくことが肝要と考えます。

東整振におきましては、スキャンツールをはじめとした高度な診断機器の活用と故障診断技術習得のための研修・講習を本年も引き続き開催し、業界全体の技術レベル向上に努めてまいります。

本年は1月より登録自動車の検査標章の様式変更、OCRシートの汎用化に伴う無償化のほか、4月には自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)の継続検査など対象手続きの拡大も予定されており、自動車整備業を取り巻く環境は大きな変化を迎えようとしているところです。
国土交通省におきましてはOSSの利用率について、平成33年度において新車新規登録全体で80%、中間登録で60%、継続検査で70%をそれぞれ目標値に掲げており、目標達成に向け制度の検討と整備を深めております。東整振におきましてもこれらの変化への対応に加え、会員各位の利便の向上に努めてまいります。

また、本年秋には「第21回全日本自動車整備技能競技大会」が開催されますが、東整振におきましても、全国大会へ出場する東京代表選手を選出するため「第16回東京都自動車整備技能競技大会」を開催いたします。
前回の全国大会では惜しくも上位入賞はなりませんでしたが、本年においては優秀な成績を収めることが出来るよう関係者の皆様のご協力を賜りたくよろしくお願いいたします。

東整振におきましては、教育委員会、事業指導委員会などの委員会組織を活用し、専門性の高い部門別の検討を進めていくことで、引き続き組織の活性化を図ってまいります。
また、全国の自動車整備事業者で相次ぐペーパー車検や不正改造などについては事の重大性に鑑み、法定研修などの機会を捉えて周知を図るとともに、指定自動車整備事業の適正化を促進するため、会員事業場への巡回相談や研修会等を充実させることで、意識向上と適正化に取り組んでまいります。

一方、都整商におきましては、OCRシートの無償化や「自動車整備近代化資金」事業の終了等を控え、今後の事業運営において厳しい局面を迎えることとなりますが、今後の事業の活性化策についての検討を進めていくとともに、スキャンツールの普及促進や次世代自動車の整備需要に対応した用品の拡充などにより、経済事業の活性化ならびに組合員各位への支援業務の拡充に努めてまいります。

特に、事業場や事務所の省エネ対策として初期投資を要しない「レンタル方式LED照明」の斡旋や「EV対応充電装置」の普及促進などの支援業務を引き続き推進してまいりますとともに、昨今の自動車検査場構内での運転操作ミスによる事故への対応として、自動車整備業賠償共済保険の加入促進キャンペーンを今後も継続して展開してまいりますので組合員皆様のご協力を賜りたくよろしくお願いいたします。

自動車整備業界は、少子高齢化による若年整備要員の確保難や、先進安全自動車などに代表される自動車技術の進歩への対応をはじめとした様々な課題に直面しております。このような変化に柔軟に対応していくとともに、両団体の一層の効率化と業界の活性化に努め組織を運営してまいる所存です。

結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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